NC旋盤加工をはじめとした機械加工技術用語集

あ行

アディティブマニファクチャリング

素材を層にして重ねていくことによって立体物を造形すること。積層造形。ラピッドプロトタイピングと似ている用語になりますが、ラピッドプロトタイピングはあくまで試作を作ることで、アディティブマニファクチュアリングは最終製品の生産に用います。3Dプリンタはこの手法にあたります。

アンダーカット

成形加工において、金型から成形品を取り出す(離型)ときに、型を開く方向のみでは離型できない形状のこと。

イニシャルコスト

新しく設備や機械を導入したり、新たな製品を製造するときに掛かる初期費用のこと。他業界でも広く使われる一般名詞。

インクジェット方式

3Dプリンタの造形方式のひとつ。インクジェットヘッドから紫外線硬化性の樹脂を微細粒子にして噴射して、紫外線で固めながら積層していく方式です。表面の仕上げも滑らかで、複数の素材を選択できたり、混ぜたりすることが可能です。光造形のように槽内の樹脂をレーザーで少しずつ硬化させるのではなく、塗布した樹脂を面で一気に硬化させるため、光造形と比較すると造形スピードが速いのも特徴です。

インジェクション成形

射出成形とも言われる。加熱して流動状態にした樹脂を閉じた金型の空洞部に射出(injection)した後、冷却固化することで、金型空洞部の形と同等の成形品を作る方法です。機械部品(ギヤ、ケース、カバーなど)、自動車部品、家電製品など数多くの製品製造に用いられています。数量の多い製品を製作するのに適切。

エアーブロー

飛び散った粉をきれいに集塵すること。

エンドミル

外周面および端面に切れ刃のある柄のついたフライスのこと。溝削りや狭い平面の仕上げに用います。

か行

カッターR

切削加工時に刃物の先端が半円状になっているために出来るコーナー部分に削り残ってしまうRのことです。

筐体( きょうたい )

機械や装置の本体部分を中に収めた外側の箱型部分で、フレームを含めた外装です。英語では、ケース (en:Case)、ハウジング (en:Housing)、エンクロージャー (en:Enclosure)などと呼ばれるものに相当。

研削( けんさく )

広義の切削加工の1種。物の表面を削って滑らかにすること。

さ行

サービスビューロ

商用印刷やDTPに関連する出力などを行う業者。3D CAD/3D-CG等の3次元データを樹脂で出力する業者は造形サービスビューロといいます。

サーフェス

主に工業製品のモデリングで使用される形式のひとつで、曲線の集合で面を定義したデータです。ワイヤフレームモデルに面情報を加えたもの。中身のない中空のダンボールのようなイメージで堆積や質量の概念はありません。家電製品の意匠設計、自動車のボディーなど複雑な形状を扱う金型設計でよく使われます。部品を作成する過程で利用されるケースが多く、最終的にはサーフェスを閉じた空間に変更して、ソリッドに変換して利用されることが多い。

治具( じぐ )

機械工作の際に、工作物を固定するとともに切削工具などを正しい位置に導くために用いる補助道具です。これを導入することによって、けがきする手間がはぶけ、加工が容易になり製品の仕上がり寸法が統一されるので迅速に大量生産することが可能になります。金属加工以外の分野も含め、位置決めを行う器具や工具そのものに対して広く用いられます。

蒸着( じょうちゃく )

真空にした容器の中で、材料を加熱し気化もしくは昇華して、素材に薄膜を形成する方法です。

除去加工( じょきょかこう )

除去加工は切削工具類を用いて対象物を切り削る加工方法です。切削加工とも呼ばれます。

真空注型( しんくうちゅうけい )

真空に近い状態の樽の中で型に樹脂を流し込み、簡易型を製作し、樹脂製品を複製する整形加工方法です。金型を使用しないで、安価に早くマスターモデルに忠実に高精度な試作品をつくることができます。簡易型はシリコン型、注型用の樹脂はウレタン系やエポキシ系樹脂を使用するのが一般的。金型製作と比較して、コストと納期がかからないのが最大の特徴です。

靱性( じんせい )

材料の粘り強さ。

スナップフィット

部品に設けた凸部を、材料の弾性を利用して受け手側の凹部にはめ込んで引っ掛けることにより、ネジや接着剤を使用せずに固定する組立て方法です。射出成形されたプラスチック製部品の組立てに広く使用されています。

寸法公差( すんぽうこうさ )

寸法公差とは図面の寸法に対して許される誤差の範囲のことです。部品を加工する際、加工の条件やその時の気温、素材など様々な要因により図面の寸法通りには製作できず、バラツキがでてしまいます。したがって、一定の偏差を許しても機能が損なわれないように許容できる寸法の最大値と最小値を決めます。この実際の寸法の最大値と最小値の差を公差といいます。

積層ピッチ( せきそう )

造形する際に材料を積み重ねていく1層の厚さを指します。3Dプリンタではごく薄い層を少しずつ積み上げてモデルを造形していきます。積層ピッチを細かくした方が造形の密度が高くなるので強度が増して、表面も滑らかになります。その一方で造形時間は長くなります。ただし、造形できるものの精度には、その他のさまざまな条件も関わるため、一概に積層ピッチ=精度とは言えない点に注意が必要です。

切削加工( せっさくかこう )

金属、木材やプラスチックといった素材を工具を用いて削り取り、希望の寸法や形状にする加工方法のことです。この加工方法の長所は多種多様な形状のもの、複雑な形状のものができること、出来上がった製品の精度が高いことです。また、コンピュータで数値制御して加工が行えるNC加工の技術もあり、プログラムするだけで加工することができます。逆に短所は複雑な形状だったり、素材が金属だったりすると加工するのに、時間とコストがかかります。

旋盤( せんばん )

固定した刃物で工作物を丸く削ること。

ソリッド

サーフェスモデルの中身が詰まったモデル。体積や重量などの幾何学情報の計算が可能。現在販売されている機械用CADの多くがソリッドモデル。部品を組み立てた状態のモデルを作るのに最適。操作はサーフェスと比較して容易であることが特長です。

た行

ダイカスト

金型鋳造方法のひとつで、特殊鋼で精度の高い金型を作り、そこに溶融した金属(アルミニウム、亜鉛、マグネシウムなど)を高圧で注入し凝固させ取り出すことにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産することのできる鋳造方式のことです。ダイカスト製品は寸法精度が高く、強度に優れ、外観が美しく機械加工も少なくて済むという優れた特長があります。

チャック

旋盤などの加工機械に取り付ける、切削用の刃物です。

鋳造( ちゅうぞう )

鋳造(ちゅうぞう)は、主に鉄・アルミ合金・銅・真鍮などの金属を高温で溶かし型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法です。鋳造に使用する型のことを鋳型(いがた)といい、鋳造でできた製品のことを鋳物(いもの)といいます。

デジタルファブリケーション

3Dプリンタや切削加工機器、3Dスキャナなどのデジタル工作機器を用いて、3Dデータから木材や樹脂などの材料を成形したり、実物を3Dデータ化する手法をデジタルファブリケーションといいます。情報を物質に、物質を情報に相互交換することの総称です。手紙はeメールへ、本は電子書籍へ、地図は位置情報システムを用いた電子地図へ進化するトレンドが続いてきましたが、デジタル化一辺倒ではなく、情報を必要に応じて物質に戻す技術の重要性が認識されています。その中で3Dプリンタは、情報を物質にするための「デジタル工作機械」の代表的な存在といえます。

な行

熱可塑性樹脂( ねつかそせいじゅし )

常温では弾性をもち変形しにくいが、加熱することにより軟化し、冷却すると元の状態(固化)に戻るという性質を利用して、さまざまな形に加工することができる合成樹脂です。ナイロン・ポリエチレン・ポリスチレン・ポリ塩化ビニールなどはこれにあたります。

熱硬化性樹脂( ねつこうかせいじゅし )

加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂のこと。使用に際しては、流動性を有するレベルの比較的低分子の樹脂を所定の形状に整形し、その後加熱等により反応させて硬化させます。主剤と硬化剤を混ぜて使うタイプがありますが、これは熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂で、混合により重合反応が起こっています。熱硬化性樹脂は硬くて熱や溶剤に強い特徴があります。フェノール樹脂 (PF)・エポキシ樹脂(EP)・メラミン樹脂(MF)・ポリウレタン(PUR)等がこれにあたります。

熱溶解積層法(FDM)( ねつようかいせきそうほう )

3Dプリンタの造形方式のひとつ。FDM(fused deposition modeling)とも呼ばれています。1980年代後半に米国ストラタシス社によって開発されたラピッドプロトタイピング・3Dプリンタにおける造形方式の1つ。プリンターヘッドが動き、熱可塑性樹脂(プラスチック)材料を半液状に溶かし、コンピュータが制御する経路に沿って抽出し、一層ごとに積層していき最終的に立体物を造形する方法です。

は行

バイト

旋盤で鉄を削るもの。

光硬化性樹脂( ひかりこうかせいじゅし )

ある特定の波長の光を照射すると硬化する樹脂です。樹脂の分子が重合・架橋(かきょう)することによって液体から個体に変化します。特に紫外線で硬化するものは紫外線硬化性樹脂と呼ばれ、小さいスポット径に絞ることができるため、精度の高い成形物が得られやすいので光造形では好適とされます。

光造形(SLA)( ひかりぞうけい )

3Dプリンタの造形方式のひとつです。光で硬化する樹脂液をプールに満たし、その表面をレーザーで硬化させて一層一層重ねていき、最終的に立体物をつくります。3次元データ(3Dデータ)から直接成形できるため、短時間で立体物が造形でき、精度も高い。試作品の作成手段などに多く利用されています。

ヒンジ形状(切削)( けいじょう )

蝶番(ちょうつがい)のことです。上下左右には動かないが、回転は自由であるような材と材の接点または支点の状態。また、そのための機構。

フィラメント

3Dプリンタで造形物を作成する際の材料です。インクジェットプリンタでいうとインクに相当する材料。3Dプリンタのフィラメントは材料となるプラスチック樹脂(ABS樹脂/PLA樹脂)を糸状にしたものをいいます。

フライス

工具の外周面、端面または側面に刃を持つ、回転しながら切削する工具です。

付加加工( ふかかこう )

付加加工は,材料に材料を付け加える加工であり、代表的な加工として溶接やロウ付けがある。光造形・粉末造形もこれにあたります。

プラスト処理

鉄・砂・ガラスなどの粒子を吹き付けて素材表面にある異物を取り除いたり、または素材表面を粗す方法です。

フランジ形状(切削)

フランジとは、部材からはみ出すように出っ張った部分の総称。つばのような形状をしている物を表します。

粉末造形(SLS)( ふんまつぞうけい )

3Dプリンタの造形方式のひとつです。3Dデータを元に粉末素材にレーザーを照射して1層づつ積層し立体モデルを製作する方法のこと。この試作法の特長は、焼結された造形物の周りに未焼結粉末が充填された状態になっており、他造形法のようにサポートを必要としません。粉末材料として、ナイロン、ポリカーボネート粉末等が使用できます。耐久性があるためデザイン試作品だけでなく、機能評価試作モデルとしても活用されています。

ポクセル

2次元デジタル画像を構成する単位のピクセルに対して、厚み情報を加えた3次元デジタル画像を構成する単位のこと。ポクセルは体積の要素で、3次元画像の断面図を表現できます。CADなどの技術として利用されています。

ポリゴン

サーフェスの一種で、線で構成した多角形のメッシュを使って立体形状を表すもの。コンピュータで立体物を形成する場合は、座標データに基づいてポリゴンの各頂点をつなぐことによって、物体表面が表現されている。ここのポリゴンが小さければ小さいほどその集合として書かれた物体は滑らかに表現できる。細かくて複雑な形状でも、細かなメッシュを編集することで実現できるため、人や動物といった有機的な形状も表現できます。用途やデータ形式は非常にさまざまで、ゲーム開発、フィギュア作成、構造や流体の解析、3Dプリンタなどさまざまな場面で使われます。

ま行

マシニングセンタ

マシニングセンタは、自動工具交換機能をもち、目的に合わせてフライス削り、穴あけ、などの異種の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械です。工具マガジンには多数の切削工具を格納し、コンピュータ数値制御 (CNC)の指令によって自動的に加工を行います。

モックアップ

工業製品の設計・デザイン段階で試作される外観を実物に似せて作った模型。製品の外観を確認・評価するために作られるもので、加工の容易な樹脂でつくられることが多い。自動車、航空機など精密さを要するデザインにモックアップは不可欠なものである。デザインの進捗段階に応じてさまざまな呼称がある。
初期段階スタディーモデル
外観デザイン検討段階プレゼンテーション・モデル
内部機構検討段階ワーキングモデル/プロトタイプモデル

や行

溶接( ようせつ )

金属などの接合部を溶かしてつなぎ合わせること。電気溶接やガス溶接などがあります。

ら行

ラピッドプロトタイピング

デザインや形状などを確認するため、試作品を文字通り短時間で製作することです。3次元CAD上で入力された形状データを用いて、機械加工することなく、一層ずつ積層しながら立体モデルを直接生成すること。FDM(熱溶解積層法)、SLS(光造形)、インクジェットなどの生成手法があります。

ラピッドマニファクチュアリング

3Dプリンタなどの積層造形法を用いて、実用される最終製品を製造することです。型などをつくらずに最終製品を製造できるので、開発から市場にでるまでのスピードを大幅に短縮できます。モータースポーツ車両や航空機(特に軍用機)を中心に利用されています。

わ行

ワイヤーフレーム

3Dデータのうち最もデータ量の少ないもの。立体形状を頂点と線のみによって表現したデータです。初期の3D CADからのデータ形式。

英数

CAD

コンピュータ支援設計とも呼ばれ、コンピュータを用いて設計すること。あるいはコンピュータによる設計支援ツールのことです。CADで作成したデータが2次元のものを2DCAD・3次元のものを3DCADと言います。3DCADで設計した造形物の3Dデータを積層造形に利用できます。

G-CODE

3Dプリンタへの作業が指示されたコードのことです。G-CODEは3Dモデルデータ(STL)を元にスライサーと呼ばれるソフトを使って作成します。3Dプリンタでは造形物の大きさや配置、サポート材の有無、材料の特性(材質)、温度管理、造形スピード、造形パターン等も考慮する必要があり、それらが造形精度に大きく影響します。

STLファイル

Standard Triangulated Language の略で、3Dデータを保存するファイルフォーマットのひとつです。立体の表面を3角形(ポリゴン)で近似して表す、ポリゴンフォーマットの1種。曲面をそのまま取り扱うことはできませんが、ポリゴンの分割数を増やしてより細かな3角形で近似するようにすれば、曲面のように見えます。また、色情報を持たないため基本的には単色で出力する熱溶解積層方式(FDM)や光造形方式(SLA)、粉末焼結方式(SLS)の3Dプリンタで使われます。

3Dスキャナー

物体の凹凸を感知して3Dデータとして取り込むための装置。対象物にレーザーを照射したり、センサーを当てたりしながら3次元のデータ(XYZ)を複数取得する。スキャンの方式は、実際に対象物に接触して計測する接触方式と、レーザー光などを当てて計測する非接触式に大別されます。

3Dデータ

縦、横、高さの情報を持つ立体のデジタルなデータです。CADなどのモデリング専用ソフトを使って作成する。3Dプリンタで出力するのに必要となるデータ。主な種類として、ワイヤフレーム、サーフェス、ソリッド、ポリゴンがある。

3Dプリンタ

3Dプリンタは、通常の紙に平面的に印刷するプリンタに対して、3DCADで作成された3次元データ(3Dデータ)を読み込み、樹脂の積層などによって立体物を造形できる装置のこと。立体模型やモックアップを比較的短時間で作成できる手段として、製造業をはじめ、建築・デザインなどさまざまな分野で利用されています。造形方式には数種類の方式があり、方式ごとに使える材料や造形物の特性は異なります。

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